名称 | 町家博物館・今野家 |
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場所 | 平野上町2-4-4 今野家 |
開館日 | 毎月第4日曜日,13時〜16時 |
概要 | 江戸時代後期に建てられた農家的な性格を持つ当時の典型的な住宅.家の基本的な形は田の字形で,現在の住宅はこの様式から発展していったといわれている. |
この町家は,江戸末期,徳川慶喜(1837-1913)の時代には既に建っていたであろうと思われる家です.間口が狭く奥行きの深い「鰻の寝床」と言われる長細い形の敷地に建っている,当時としては何の変哲もない,ちいさな藁葺き屋根の町家です.そして昭和10年ごろまで「竈(かまど,へっつい)」があり,大きな鉄の鍋や釜がのっていた覚えがあります.燃料は主に藁や薪でした.そして,藁葺きの屋根裏は物置の空間で,鉤型をした鹿の角にロープをつけ,収納するものや使用するものを上げ下げしていました.この空間のおかげで,夏はとても涼しく過ごせます.とはいえ,なにしろ160年以上を経過した古い家ですから,現代の生活に適した快適なものには程遠いものです.特別な愛着を感じている人以外は,補修よりも建替えを選ぶ方が多いのでしょう.このような家は少なくなってきました.地震や台風などに怯えながらも,幸いにも大きく壊れることなく,今日まで持ちこたえてくれ,うれしく思っていますが,諸所補修しなければならない所も多く不安でいっぱいです.この家が少しでも長く持ちこたえてくれるように祈る昨今です.
文:今野 博(町家博物館館長)
(1)ザシキから中庭を隔てて離れザシキを望む. | |
(2)土間のある懐かしい風景.玄関口付近から勝手口を望む. |